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【独自取材】「宇宙スキル標準の現時点」Vol.2
前号からの集中特集『宇宙スキル標準』全国説明会(8月4日、内閣府がオンラインにて開催)の模様(事務局による説明)を、引き続き、読み物的に再現していく。宇宙スキル標準は、内閣府のホームページ内で検索すれば閲覧できる。EXCELファイルで細かくスキル・業務データベースの一覧化を図った「試作版」は、さらに誰しもに「読んでもらいたい時に、使いやすい、わかりやすい」成果物を目指し、ブラッシュアップしてい
2025/12/16 17:01:25
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【独自取材】「宇宙スキル標準の現時点」Vol.2
前号からの集中特集『宇宙スキル標準』全国説明会(8月4日、内閣府がオンラインにて開催)の模様(事務局による説明)を、引き続き、読み物的に再現していく。宇宙スキル標準は、内閣府のホームページ内で検索すれば閲覧できる。EXCELファイルで細かくスキル・業務データベースの一覧化を図った「試作版」は、さらに誰しもに「読んでもらいたい時に、使いやすい、わかりやすい」成果物を目指し、ブラッシュアップしていくのが今年度の取り組みだ。今回は、宇宙スキル標準(試作版)の具体的な内容から、全体の構成《左表Ⓐ参照》にふれていく。まず①【スキル一覧】に関しては、宇宙業界に共通的に求められるスキルを一覧化したEXCELファイルが掲載され、それを見れば「あっ、こういったスキルがあるのか」と理解できる、そんな一覧表になっている。 ▲Ⓐ宇宙スキル標準の全体像(出典:内閣府宇宙開発戦略推進事務局) 「宇宙スキル標準」の内容と位置付け 宇宙スキル標準とは「ロール・業務・スキルの関係性の整理」 続いて②【業務一覧】は、まだ足掛かり的ではあるが「共通的にこういう業務が、一般的に宇宙業界には存在するぞ」というもの。スキル一覧、業務一覧に関しては、特に、他業界の従事者が見て「スキル・業務には、宇宙固有の名称もありますが、わかりやすく汎用的な表現でとの方針」で作成している。 ③【スキルディクショナリ】とは「この業務を遂行する上でどういったスキルが必要になるかを可視化した」スキルと業務の対応表である。 ④【スキルレベル一覧】は、各スキルに対して4つの評価軸、5つのレベルで「スキルごとの評価をしていく上での指針として使える」ようなレベル設定をした表になっている。 ⑤【スキル×学問・資格検定】⑥【ロール一覧】⑦【参考プログラム】、これらは参考情報として、それぞれのスキルを獲得するにあたっては、どういった学問、資格が関連してくるのか。具体的にこの業界はどういった職種・ロール(役目)が存在するのか。参考となるような企業・団体・教育機関・自治体などが取り組んでいる、人材育成に関するプログラムの情報を記載している。 なお、これら資料の引用等での使用は自由であり(※宇宙スキル標準の参照を明記)、多くの利用者の活用がのぞまれる。 宇宙スキル標準作成の前提 宇宙スキル標準の作成は先述のとおり、他業界の従事者や学生から見た時に「あっ、こういった形で『チャレンジ』できるんだ」との気付きになればとの思いがある。 逆にいえば「こういったスキルがないと、宇宙業界では活躍できないんだな・・・・というネガティブな捉え方ではなく、必須な事項ではないと理解いただき、あくまでこういったスキルがあり『チャレンジできるんだ』という指針・参考にしてほしい」位置づけとなる。 そして「利用者がカスタマイズをする」ことを前提としている。例えば企業であれば、必要な業務・スキルはそれぞれ異なり、必要なスキルの粒度感も、企業・人材エージェントごとに変わってくるかもしれない。その意味では、共通項となるようなレベル感、粒度、内容で作成している状況である。 「これを元に、皆さまそれぞれでカスタマイズして活用いただくことを前提としているので、やはり定期的な改定等が必要だと思っています。あくまで現時点で標準とされるスキルを整理しているものだと、ご了承ください」 宇宙スキル標準の整理体系 宇宙スキル標準の中では「ロール」「業務」「スキル」と項目を整理している。特に組織においては、スタートアップ、大手企業によって、職種・ロールは変わってくるので、その業界で一般的、に主要だと考えられているロールを例示し「組織における、任意の業務を担当する職種名を指しています。例えばプロジェクトマネージャーや、〇〇系エンジニアなどです」 そして業務では、組織で特定の目的を達成するために必要となる機能や仕事を指しており「プロジェクトマネジメントや〇〇系の設計業務などが該当します」 また、スキルは業務を遂行する上で必要となる能力、業務の遂行能力と定義をするので、スキルの中には知識や技能も含まれてくる。これら、ロール・業務・スキルの「関係性の整理」が、宇宙スキル標準の位置づけとなっている。 スキル項目の整理方針 さらに、整理しているスキルの対象範囲の概念について、三角形の構造イメージ図で考えれば「上に行けば行くほどスキルの特殊性・専門性が上がっていきます。例えばスキルに関して、個社固有、あるいは特定の状況下にのみ必要とされるスキルは対象外にしています」 あくまで業界の共通項レベルで整理をしている思想だが、一方で「広すぎても採用していないという状況」でもある。すべての業界に共通的なスキル、例えば論理的思考能力、ロジカルシンキング、コミュニケーション能力等々は、宇宙スキル標準でまとめる以外にも、すでに体系的にまとめられているものがあるため、宇宙スキル標準の中では整理しないとしている。 「あくまでこの『中間』です。宇宙業界の主要業務に関連するような標準的なスキルを整理して、汎用的に参照できるものになっています」 活用する組織によって、役職や一人ひとりの人材が担う業務範囲は異なる状況をふまえ、どのような組織でも活用できるように、スキル項目やレベルを汎用的な表現で整理している。組織によっては、A社が担当する業務領域とB社が担当する業務領域は違ってくるので、広く皆が参照できるようにまとめている。 「一人ひとりが担当する業務はスタートアップと大手では違ってきます。例えばスタートアップであれば、すべての業務を横断的に担当する方も多くいらっしゃると思いますし、一方、大手であれば、特定の業務・特定の領域を、専門性をもって対応する方も多いと思います。この流動感も合わせていく。役職の付け方に関してもスタートアップと大企業では異なると思います」 これらをふまえ、汎用的な表現で整理をし、各活用者がカスタマイズすることを前提としている。 宇宙スキル標準の整理範囲 ▲Ⓑ宇宙スキル標準の整理範囲(出典:内閣府宇宙開発戦略推進事務局) では、具体的にどういった範囲を整理しているのか、簡易的に全体像をまとめたものが《1面表Ⓑ参照》となる。左から右を業務の流れに、宇宙輸送機を開発・製造、試験し、打ち上げて活用していくプロセスを大まかに列記している。特にブルー表示の部分が、今年2月に公開した試作版にて整理した範囲で、主には設計解析や製造のあたりが整理された状況である。 一方では、ピンク表示の部分に関しては、昨年度の試作版で項目を荒い粒度で挙げるに留まっており、今年度中(2026年3月)に深堀りしていく状況にあり、今年2月に公開した範囲の内容紹介になっている。 ブルー表示の業務カテゴリーはまず【プログラム創造・組成】は、新たなビジネスの創造や、宇宙輸送機・人工衛星によって成し遂げられるミッションの策定など、宇宙業界における新たな価値創造を担う業務領域。 【プロジェクトマネジメント】は、宇宙輸送機や人工衛星の開発に関わるプロジェクトの立ち上げ、計画、実行等プロジェクト進行・運営に関わる業務領域。 【システム全体エンジニアリング】は、システム(宇宙輸送機や人工衛星)全体に係るエンジニアリング業務領域。 そして【領域別エンジニアリング】は、構造系・推進系・電気系・通信系・熱制御系・制御系(姿勢・誘導)・ データ処理系・ソフトウェア系における設計・解析・製造・試験などの業務領域とまとめている。 川下の部分(ピンク表示)である【打上げ】【運用・活用】【コーポレート業務】はまだまだ精緻化できておらず、項目だけを試作版の中では挙げるに留まっている。 これらスキルの全体像を「スキルカテゴリ・項目一覧」として、宇宙スキル標準試作版の中では「製造・加工」「製造基本技能」など計94のスキルを整理している。次回に詳報したい。(続く)
2025/12/16 17:01:25
先進レーダ衛星のデータ提供開始
Synspectiveは、JAXAが運用する先進レーダ衛星「だいち4号」のデータ提供を開始した。 ▲Synspectiveは、ALOS-4のデータを活用した解析ソリューションの提供も開始している SAR(合成開口レーダー)衛星のデータは、天候や昼夜を問わず地表を観測できる特性を持ち、災害対応、インフラ管理、森林モニタリングなど、多様な分野において活用が進んでいる。ALOS-4が搭載するLバンドSARは、電波が草木を透過しやすい特性を持っているため、植生豊かな日本の山間部においても、地表面の変化を正確に捉えることができる。 さらに、ALOS-4はALOS-2と比較し観測頻度が上がるため、データ提供の効率が向上することが期待される。 ニュースソースを読む
2025/12/12 19:00:00
日豪連携推進で商業的協業拡大へ
Space BDは、豪・Inovor社と、日本とオーストラリアの宇宙産業における商業的協業の拡大を目的とした覚書(MOU)を締結した。 ▲(左)Space BDの李美亜氏(右)Inovor社のMatthew Tetlow CEO 同MOUにより、Space BDはオーストラリアを代表する衛星開発事業者であるInovor Technologies Pty Ltdが開発する衛星に対して打上げ機会を提供するほか、Inovor社が開発する衛星サブシステム・ユニットの販売を実施する等、相互に補完し合う形での事業展開を検討する。 また、技術的かつ商業的情報の交換や、共同での顧客開拓やプログラム検討を通じ、両国間の宇宙ビジネスエコシステムの発展に寄与していくことを目指す。 ニュースソースを読む
2025/12/11 19:00:00
宇宙ビジネスの共創と支援を提供
ALTILANは、非宇宙・異業種企業の宇宙ビジネス参入を支援する『ストーリードリブンの宇宙ビジネス開発』サービスの提供を本格的に開始した。 ▲企業の本質的な価値や歴史を起点に、宇宙へ挑戦する理由を漸次的に構築していくアプローチを提供する 同サービスは、企業が宇宙ビジネスに参入する際の「なぜ我々が宇宙を目指すのか」という根本的な問いに答えるため、企業の歴史や強み、大切にしてきた価値観を紐解き、宇宙へと繋がる説得力あるストーリーを創出する。将来像のコンセプトイメージとキャッチコピーの策定から、具体的かつ論理的な未来のプロット及びユースケースの立案、取り組む意義や生まれる価値の言語化まで、事業開発を推進するうえでの羅針盤となるアウトプットを提供する。 また、策定したストーリーを起点として、本格的な事業企画の立案や技術検証活動などの支援にシームレスに接続することも可能。ALTILANが保有する新規事業開発のノウハウと宇宙業界の専門知識を融合させ、各社の状況に応じた内容を最適な形式で提供していく。 ニュースソースを読む
2025/12/10 19:00:00
アフリカの2政府機関と協業
アクセルスペースは、アフリカの2つの政府系機関とそれぞれ、人工衛星の地球観測データを利用して現地の社会課題解決に向けて協力することを目的に、覚書(MOU)を締結した。 ▲「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」 のステージで署名式に出席した(右)アクセルスペース代表取締役の中村友哉氏 今回MOUを締結したのは、ガーナ共和国のガーナ宇宙科学技術研究所(GSSTI)と、ケニア共和国に拠点がある開発のための資源地図地域センター(RCMRD)。これを契機として、アクセルスペースはアフリカ諸国をはじめとする新興国のパートナーと協業し、現地ニーズに合わせたソリューション開発・実装を本格的に進めていく。 それぞれの覚書に基づき、農業、環境・森林保全、災害管理・気候変動対策、都市計画・インフラなどの分野において、アクセルスペースは地球観測データや利用に関するノウハウを提供し、各政府系機関は地元の民間企業と連携して地球観測データ利用の枠組みを確立していく。現地との協業を通して解決すべき各国の社会課題を見極め、地球観測データと現地情報を組み合わせたソリューションを開発・実装し、地球観測データ利用の新たな市場創造を目指す。 ニュースソースを読む
2025/12/09 19:00:00
認証取得し航空宇宙分野へ本格展開
ニッタは、CNT複合化技術Namd™を用いたCFRP(炭素繊維)製品において、航空宇宙品質マネジメント(AS9100)認証を取得した。 ▲Namd(TM)を用いたCFRP製品 航空宇宙品質マネジメントAS9100は、ISO 9001(品質マネジメントシステム)に航空宇宙産業固有の要求事項(機能・性能および安全性の確保など)を追加した、航空宇宙産業の品質マネジメントシステムの国際標準規格である。Namd™は、CNT(カーボンナノチューブ)を炭素繊維表面へ均一に複合化することで、従来のCFRPでは困難であった「軽量・高強度・高信頼性」を同時に実現する革新的な技術となる。特に疲労耐久性に優れ、航空・宇宙分野における厳しい品質要求に対応可能な材料として注目されている。 今回の認証取得により、ニッタはNamd™を活用したCFRP製品の航空・宇宙分野への本格展開を加速させるとともに、さらなる技術革新と品質向上を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していく。 ニュースソースを読む
2025/12/08 19:00:00
宇宙産業の即戦力専門人材を育成
Space BDは、衛星開発の実務を短期間で体系的に学べる教育プログラム「HURDLES(ハードルズ)」を開発した。 ▲「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」のカンファレンスにて発表する趙教授(千葉工大・九州工大) 同プログラムは、宇宙産業の急拡大に伴い高まる専門人材の育成ニーズに応え、趙孟佑(ちょう・めんう)氏およびArkEdge Spaceの協力のもと開発し、来年(2026年)1月より順次カリキュラムの提供開始を予定している。 Space BDはこれまで、教育事業を重要な柱として位置づけ、実際の衛星開発や打上げ支援、ISSを活用した実証実験で培った知見や技術力を活かし、学生を対象とした衛星開発・宇宙実験プログラムのほか、企業向けの宇宙ビジネス人材育成など、多様な教育活動に数多く取り組んできた。HURDLESは、こうした活動を通じて得た専門知識を体系化、宇宙産業の成長を根底から加速させる「即戦力の専門人材」の育成を目的に開発された。 ニュースソースを読む
2025/12/05 19:00:00
欧米主要宇宙機関との協力拡大
クロスユ-は、10月に日本橋にて開催した「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」内において、欧州最大の科学技術応用研究機関であるフラウンホーファー研究機構(Fraunhofer-Gesellschaft)との、宇宙分野の協力促進を目的としたパートナーシップ(MOU)を締結した。 ▲(右)クロスユーの中須賀真一代表理事 同MOUは、クロスユーとFraunhofer Institute for Technological Trend Analysis INTの連携を目的に締結された。Fraunhofer INTは、ドイツのフラウンホーファー研究機構内の一研究所であり、航空宇宙分野に特化した応用研究ネットワークとして欧州を代表するFraunhofer AVIATION&SPACEのホスト機関であり、同MOUの締結により、クロスユーはFraunhofer INTとの連携を通じ、日本と欧州双方における研究機関・スタートアップ・企業間の協力をさらに推進し、新たなイノベーション創出と国際的な産業エコシステムの形成を加速させていく。 また、クロスユーは、米・フロリダ州およびフロリダ州の宇宙産業振興機関「Space Florida」との協力体制を強化する共同声明を発出した。今回の共同声明は、10月27日に日本橋で開催された「日米(フロリダ)宇宙産業ラウンドテーブル」での議論を踏まえてのもので、クロスユー、Space Florida 、SelectFlorida、Florida Commerceの四者が、急速に成長する国際宇宙経済において協力を強化するために、意思確認をしたものとなる。 ニュースソースを読む
2025/12/04 19:00:00
九州から宇宙エコシステムに貢献
Fusicは、Kick Space Technologiesと、宇宙事業開発における包括的な協業を推進するため、業務提携に関する覚書を締結した。 ▲(左)Kick Space Technologiesの佐藤凛CEO(右)Fusicの濱﨑陽一郎副社長 九州工業大学が長年にわたり取り組んできた約30機の超小型人工衛星開発の実績を基盤に、超小型人工衛星のインテグレーション事業を提供するKick Space Technologiesと、クラウド・AI・IoT分野で豊富な知見を有するFusicが連携することで、九州・福岡から宇宙産業エコシステムの発展に貢献する。 近年、宇宙産業は急速な成長を遂げており、超小型人工衛星の開発・運用から地上システム、データ解析に至るまで、ソフトウェア技術の重要性が一層高まっている状況にある。Fusicは、クラウドコンピューティングやAI等の技術を活用し、宇宙関連の政府機関や企業とのプロジェクトを推進しており、今後さらなる成長が期待される宇宙産業関連ソフトウェア市場におけるプレゼンス向上を図っている。Fusicは今回の提携について、同社の取り組みを加速させる重要な一歩と位置づけている。 ニュースソースを読む
2025/12/03 19:00:00
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